Genesis / The Battle of Epping Forest 耳コピ

1973年リリースのGenesisの名盤「Selling England By The Pound」より「Battle of epping forest」。Steve Hackettのライトハンドやスイープ奏法は当時は全然わからなかったけども、Van Halenより全然早かったんだよね。おそらく人生で一番聴き込んだ(無人島行き)アルバムではないかと思う。発売当時は中学生、友人から紹介されて聴いたら、まずメロトロンのサウンドにノックアウトされた。楽曲と演奏の素晴らしさはもちろんだけど、なんといってもメロトロン!。オープニングの「Dancing with the Moonlit Knight」のコーラスサウンドにはホント痺れたなあ。なおあのコーラスは原音とディレイ音(リバーブ)を左右に振ってステレオ感を出しているみたい。

バイナルB面一曲目の「The Battle of Epping Forest」は、当時は正直言って「長い曲だなあ・・」というだけでピンとこなかった。メロトロンも聞こえないし・・(実はマーチ風イントロのところでフルートサウンドが使われているんだけども・・)。しかし、曲の凄さが時を経て理解できるってのはよくある話で、この曲も然り、何度か聴いているうちに10分の長尺の中、幾度となく繰り広げられるタイムチェンジやリズムギミックなどが何となくわかってきた。

アルバム収録テイク

トニー・バンクスは、オルガン、ARP Pro Soloist、アコピ、エレピを縦横無尽に操っている。キーボードのアイソレーテッドバージョンがYoutubeにあった(便利な世の中だ)。ただし後述するが、最終ミックスとは異なるテイクの可能性があるようだ。

キーボードアイソレート版

オルガン版

イントロのマーチは7拍子であるが、この曲のモチーフでもある。なおイントロのメイキング別テイクもYouTubeで聞くことができる。

Aメロは同様に7拍子(3/4+4/4、コードはBのペダルポイント)。

途中、C#2(onE#) – G(b5) – A – Bという変わったコード進行も出てきたりする。

8分音符3つ取りでシャッフルになるタイムチェンジなど、フィル・コリンズのリズムワークがこの曲に限らずジェネシスの楽曲の特徴のひとつのように思える。

そしてこうした伏線をすべて回収、昇華するエンディングが特に素晴らしい。下記はラストのモチーフ(ここでは6/8表記にしている)

曲中何度か出てくるラインだが、エンディングではこの後、前述のAメロの「F#/B – B」のモチーフに移行し8分音符2つどりの7/4へタイムチェンジする。

フィル・コリンズのドラムとマイク・ラザフォードのベースは、2小節ごとに8分リズムをひっくり返して演奏しているのがなんともニクい・・セッション中に思いついたのだろうか?

なおこの部分のマイク・ラザフォードのベースラインはかなり怪しい(笑)コードはGとかCなのに相変わらずBメジャーのスケールで弾いている。

念の為ピーターが脱退後のライブバージョンを聞いてみると、この部分はしっかりコードにあっているラインを演奏している。このレコーディング時は勢いで弾いたものをそのままキープしちゃったんだなあと思われる(おそらく誰も気づかなかった?)。

なお上記4小節7拍目のEbであるが、トニーのオルガンはアイソレーテッド版はちゃんとEbを弾いているが、なぜか最終版はEのコードを間違って弾いてしまっているテイクが採用されているようだ(謎)。

そしてハケットのタッピング(?)で怒涛のラストへ・・(ギターはダブリングされている)

ドラマチックなコード展開、最後のAm6のサウンドがキュンとくるなあ。

というわけで、緻密な楽曲構成とアイデアには脱帽、ブラボー!

Genesis – Selling England By The Pound (Full Album Remastered)
リマスターはボーカルやギターのセパレーション精度が上がっている感じ。また新鮮な印象を持った。

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