Camel : Skylines | キャメル / スカイラインズ 耳コピ


1978年のCamelの2枚組アルバム『A Live Record(邦題:ライヴ・ファンタジア)』から「Skylines」。

ピーター・バーデンス(Peter Bardens:kb)のMini Moogによるテーマとソロがフューチャーされている軽快で美しい曲。スタジオ版ではギターがメロを担当し、後半のギターソロが割愛されていたりとアレンジが異なるが、ここではこのライブテイクに関して書いてみたい。

当時の映像を見るとピーターの主な使用機材は下記の様である。

  • Mini Moog
  • Hammond B3(?)**
  • Roland RS-202 (w/ MXR Phase90)
  • Horner Clavinet D-6 (w/ MXR Phase90)
  • Rhodes **

**は型番特定できず。

本アルバムは74~75年と77年のライブの収録をミックスしたため、ベースは曲によってDoug Ferguson(77~75年テイク)と、後任のHatfield & The Northでお馴染みのRichard Sinclair(77年テイク)と異なっている(この曲はRichard Sinclair)。Richard Sinclairのあのノンビブラート風ヴォーカルとファルセットはマイフェイバリットです。

Skylinesは高校の時に、シンセはMS-20、先輩から借りたRolandのストリングアンサンブルとElepianを使ってバンドで完コピ演奏した思い出の曲である。もちろん譜面起こしなんてしてなくて全部暗記。

改めて今耳コピして聞いてみると、なかなか変わった曲だったんだなあと思う。

基本3/4拍子だが、イントロのベースラインからしてちょっと独特

Richardはピックでスイープ気味に弾いてるようである。Andrew Latimer(アンディー・ラティマー)はベタなE7(9)のカッティングで、「お、なんだかジャズっぽいじゃん」といった雰囲気である。

Aメロ9小節めのCM7(#11)も、やっぱりちょっと変なベースライン。

途中、4/4拍子を挟みつつ、Bメロでは、GM7-Em9-CM7(b5)-Em9(E9)といったコード進行で、ストリングスアンサンブル(RS-202)の白玉をバックにアンディーの美しいギターフレーズが聞ける。

そしていよいよこの曲の肝であるシンセソロパート

ここも3/4拍子。ピーターのMini Moogはモジュレーションホイールで深めのビブラートをかけているようである。(自分が昔演奏したときは長めのリリースでキーOFF時にモジュレーションがかかるようにMS-20をセッティングしてた)

コード進行は

|Dd9| | | |
|Bb9| | | |Bb9| | | |
|G9 | | | |
|E9 | | | |E9 | | | |

これをワンサイクルで、Db9とG9はそれぞれ4小節で書き譜、Bb9とE9が8小節のアドリブ。全体的にMixolydianスケール中心のフレージングだが、後半はブルーノートなどを交えたソロになっている。

Db9の部分(調合は便宜上の5度上表記にしている)

なおこのテイクでは、Db9とG9の部分はMini Moogのオシレーターをオクターブ重ね、以降のアドリブ部分ではユニゾンに戻しているようである。

Bb9とG9のアドリブ部分はちょっとした仕掛けがあって、リズムはずっと3/4拍子、しかしピーターのソロは4拍取りのフレージング。それぞれの公倍数の12拍で拍頭が合うわけだ。

上記のように、3/4拍子の8小節(24拍)の中に、4/4拍子の6小節分フレーズがあるということになる。GenesisやYesなんかもよくやってたねこんな感じのやつ。

曲後半はF#m(onE) – E というコード進行で、アンディーの泣きのギターがフューチャーされ、エンディングは

|GM7|   |CM7(b5)  |    |Bsus|   |B   |

|D7sus4|   |D   |    |Bsus |     |B     | E       |

で幕を閉じる。

同時期のライブ映像が残っているが、このテイクはMini Moog のチューニングと走りぎみのフレーズがちょっと残念かな・・オクターブ重ねはやっていないようだ。

同日のライブテイク「Luna Sea」では、これもあまりのチューニングの酷さに途中からソロをMini MoogからRS-202に切り替えている(3:50あたり)。サックスはMel Collins。

こうして見ると「ライヴ・ファンタジア」のテイクは機材コンディションと演奏がダントツに良かったことがわかる。Camelはよく「叙情派プログレ」なんて言われてたみたいだけど、僕はシンフォニックな「スノーグース」とかはちょっと苦手で、「Never Let Go」とかさっきの「Luna Sea」といったちょっとジャズの香りがするスリリングな曲が好きだったなあ・・・なお残念ながらキーボードのピーター・バーデンスは2002年1月に癌のため57歳で他界してしまった。

この曲もよかった。Richard Sinclairのヴォーカルがとても心地よい。Mel Collinsのオーボエもいいなあ。

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